強迫性障害体験者が実践した克服方法は?OCDは必ず治る!

      2017/09/03

スポンサーリンク

OCDー強迫性障害を治した妻と私の体験記

この体験記は、子どもの頃から続いていた強迫性障害(以下OCD)の症状が約1年半ほど前に受けた極度のストレスにより悪化し、1年半の間ずっと苦しんできたにも関わらず、1冊の本との出会いでたった1ヵ月ほどの間にほぼ「治った!」と言っても差し支えないほどの回復を遂げた過程を、OCDを克服した妻と私のインタビュー形式でご紹介するものです。

 

私たちのOCD克服経験が、多くのOCD患者さんとそのご家族がOCDを乗り越えてゆく1つの希望になれば幸いです。

 

強迫性障害(OCD)とは何か?

まずOCD(強迫性障害)とはどのような病気なのかをまだよく分からずにこの記事にたどり着いてくださった方のためにも、簡単にご説明いたします。

 

日本では「強迫性障害(強迫症/強迫神経症)」などの呼び名があり、OCDというのは「Obsessive Compulsive Disorder」という英語の病名の略称です。最近ではこちらもよく知られるようになってきました。

 

生活していくうえで症状がかなり多岐にわたるので、OCDがどんな病気か簡単に説明するのは難しいのですが、「ある強迫観念が頭から離れず、その考えが現実になることを(あるいは実際にはあり得ないことだが過去に◯◯が起こったかもしれないと)本気で恐れ、その不安から何度も何度も繰り返し「確認作業/強迫行動」をとってしまう病気です。

 

症状の例

 

一つ例をとって説明すると、最も有名なのはドアノブなどを触ったあとに、そこから手に菌が移って「手が汚れている」という強迫観念が頭一杯に広がってしまい、何度も何度も手を洗ってしまう、洗っても洗っても汚れが落ちない気がする、というような症状がOCDによく見られる典型的な症状です。

 

しかしOCD患者の数だけ多様な生活環境や生きてきた背景があるため、誰にも理解されないような強迫観念に苦しんでいる方も多いでしょう。どんな些細なことでも大きな不安として耐え難いほど恐れ、「確認する」「洗う」などの強迫行動に出てしまいます。強迫観念が頭の中にないときには、自分の行為が馬鹿らしいことだと理解できるのですが、頭の中が不安でいっぱいになっているときにはその確認行動・強迫行動をせずにはいられないほど「本気で」怖い思いをしているのです。

 

OCDは綺麗好きや心配性とは全く別物です。綺麗好きな人は手が汚れていると思うと不快感を覚えて手を洗うでしょうが、OCD患者の場合それは不快感と言うよりも「恐怖」に近い強迫観念にさらされ、手を洗わなければ菌に浸食されて死んでしまうという考えまで及んでしまう人も多くいます。

 

OCDについて説明するときに最も重要な点は、OCDは脳内の生化学的アンバランスからくる『脳の誤った指令』(本人には止めたくても止められない)によって「怖い」「洗わなきゃ」「確認しなきゃ」といった強迫観念に襲われ、結果として強迫行為に及んでしまうという点です。

 

だから、「確認するのをやめなさい」「手を洗うのをやめなさい」と言ってパッとやめられる病気ではない、自分の意志で好きで洗っているわけではないということを、本人も家族もしっかりと理解しなくてはなりません。

 

また、強迫行動はすればするほど強迫性障害(OCD)の症状自体が悪化してゆき、心も体も頭も休まる時間がなくなり、正常な日常生活が難しくなります。

 

あなたの強迫症状は、あなたの性格や意志によって起こっているのではありません。OCDという脳の生化学的アンバランスが引き起こす「病気」なのです。そしてその病気は一見「自分の意志ではどうしようもない病気。難治性」と思われるのですが、大丈夫です、治せます!

 

ステップを踏んで自分の脳を訓練し、脳内で起こっている不具合(=BRAIN LOCK(ブレイン・ロック))を解除してあげることで、あなたは再び明るく開放的な日々を送れるようになるのです。絶対治せます!私の妻はこれでOCDを克服しました!まずは希望を持って以下の記事を読み進めてください!

 

現在日本でのOCD治療の主流とは?

私たちもよく「OCD 治療」と検索し、様々なサイトやブログを拝見したのですが、

 

①まずは病院を受診するべき

②薬物療法と認知行動療法を行う(ただし認知行動療法を行える医療機関がまだまだ限られている)

③OCD治療にはかなり時間がかかる

 

これらの情報が共通していました。

 

そして正直私たちを不安にさせたのは「薬物治療」でした。いろんな病院を当たってみても、認知行動療法を行う病院は近くに見つからず、ただただ薬をもらうだけの治療はとてもじゃないけどしたくありませんでした。

 

また、カウンセリングができる病院を探してみても、保険がきかないカウンセリングの高額請求におびえ、なかなか一歩が踏み出せませんでした。

(しかし結局は症状が悪化してしまったので、お金に糸目をかけている場合ではなくなって、あるカウンセラーの先生に2回だけかかりました。その先生に勧められた本との出会いがきっかけで、妻はOCDをほぼ治してしまい、今では幸せに平和に生活しています)

 

精神病となるとまだまだ病院にかかるだけでも勇気がいるのに、高額なカウンセリングやカウンセリングなしの薬物治療など、OCDを安心して治療できるような環境が、正直全く整っていないなという印象を受けました。不安によって苦しんでいる患者さんが、また不安要素を増やしてしまいそうな病院には、妻をなかなか連れていけませんでした。

 

実際妻も薬の副作用や薬を減薬する際の離脱症状に不安を抱いていました。薬を飲み始めたら、少なくとも2年ほどは継続して飲み続けなくてはならないというのも不安でしたし、うつ病などに使われる量の数倍の量の抗うつ薬を服用しなくてはならない点も怖かったのです。正直、何から何まで不安でした。

 

重いOCDを患う人は早急に薬物治療で症状を抑え、認知行動療法をしやすくすることが大事だというのは理解していたのですが、妻が薬を飲むに至らなかった理由は、単純に「薬が怖かったから」というのが理由です。

 

そう、妻は薬を使わずにOCDを克服したのでした。

 

 

体験を話す前のお願いと注意事項

 

1、辛い思いをしている人はまずは病院を受診しましょう。うつ病や他の不安障害を併発している場合もあるので生活に支障が出るレベルの人は必ず受診しましょう

 

2、自分一人ではどうにもならない時など、薬の力を借りて心理療法をしやすくするという選択肢もあります。時にはそのような選択をする勇気を持ちましょう。

 

3、私たちの体験記は個人的なものであって、おすすめする療法(アメリカの精神科医が提唱するOCD治療法)がすべてであるわけではありません。すべてのOCD患者があらゆる治療法から自身に合うものを選択し、1日も早く「寛解(かんかい)=ストレスなく生活できるレベルに治ること」に到達できることを願い記すものです。

 

4、できれば病院に行きたくない。いいお医者さんに出会えるとは限らない。薬を使わないで治せるものなら治したい。薬の副作用や減薬時の離脱症状が怖くて薬に踏み切れないという方にぜひ読んでいただきたくて記事を書きました。自分で努力できる、アメリカで多くの患者さんを治してきた精神科医が教える通り自ら回復にもっていける、OCDから解放されることは可能なんだということをお伝えしたくて筆を執りました。だからと言って、病院での治療や薬が「必要ない」と言う趣旨の記事では決してありません!!必ず受診はして、専門家の治療も受けながらの自分での努力の仕方として参考にしてくだされば幸いです。

 

Brain Lockの4ステップとは何か?

 

『Brain Lock』という本に書かれた「強迫性障害治療のための4つのステップ」を実践し、治癒した妻の体験をもとに、ご説明していきます。

 

OCDは難治性の絶望的な病気ではない!絶対に自分で治せる!!

スポンサーリンク

OCDは「難治性の病気」と言われていますが、そんなことを言われると、OCD患者さんは絶望するしかありません。「やっぱり私はこの苦しいまま生きて死ぬんだ」「手を洗い続ける人生なんだ」「もうヤダ。毎日毎日家を出るたびに家のすべての窓のカギを30回も確認したくなんてないのに……!」OCDの苦しみを間近に見たことのあるご家族の方でも、「難治性」と言われると崖から突き落とされるような気がすることでしょう。

 

しかし、OCDは治せます。ちゃんと回復して普通の生活が送れるようになります。私たちがその方法と出会った本について、まずはご紹介しようと思います。

 

私たちの体験記の記事を読んでからまずしてほしいのは、以下の本を購入し、ご本人もご家族も第1章から最後まですべて読んでみることを強くおすすめします。読みながら、訓練を進めてみてください。

 

『BRAIN LOCK』という本との出会い

Brain Lock: Free Yourself from Obsessive-Compulsive Behavior (英語) ペーパーバック – 1997/1/31

アメリカの精神科医、ジェフリー・M・シュワルツ(Jeffrey M. Schwartz)著

 

私たちはこちらの英語版の1997年ので読んだのですが、実は日本語訳の2016年版のものがありました。

 

新装版 不安でたまらない人たちへ: やっかいで病的な癖を治す

新品価格
¥2,160から
(2017/6/19 18:47時点)

 

(正直なところ、このタイトルじゃほとんどのOCD患者さんは手に取らないんじゃないかと思うのですが…病的な癖って言い方は違うなぁ、と思ってしまいました。『BRAIN LOCK』というタイトルの方がよっぽど親しみがわきます……私たちは。しかし日本語訳があるというのはありがたいことなので、これを機に手にとってみてください。内容はジェフリー・M・シュワルツ先生のものですから。)

 

OCDは先ほども書いたように「完治」ではなく「寛解(かんかい)」という表現が使われ、完全に治ったわけではないが問題なく暮らせるほど回復した、という状態を目指すことが一般的です。再発もありうることだと言われています。

 

しかしこれからご紹介する『BRAIN LOCK』で提唱されている4ステップを毎日続け、習慣化していくと、確かにたまに悪い考えが浮かぶことはあっても、パッパッとその考えを追い払って問題なく幸せに暮らすことができます!!悪い考えが来るたびに4ステップを忘れることなく油断せず、常に訓練を続けていくと、再発と言えるほどの苦しい思いをすることはなくなるでしょう。

 

Brain Lockの4ステップ

 

脳のロック、ブレインロックを解除するためには以下のような流れで訓練を行います。

 

OCDの症状が出た!→辛い。確認行動が止められない。心配で不安でたまらない。→4ステップをできるところまで実行する! これを繰り返し行っていきます。

 

 

1、Relabel(今の状況を正しく認識する):「これはOCDだ」と自分に言い聞かせます。最初は言い聞かせたところで「いや、現実かもしれない」と思ってしまい、正直これがOCDだとは信じられませんが、構わず「これはOCDなんだ」と自分に向かって言い続けます。段々と信じる努力もしていきます。頭にしっかり言い聞かせ、今の辛い状況が自分自身の判断や現実に起こっていることではないんだということを脳に正しく認識させる作業です。

 

2、Reattribute(この強迫観念の原因をハッキリさせる):「これは脳の中で起こっている生化学的誤作動のせいで、脳が間違った指示(「汚いから手をもっともっと洗え」「車で人を撥ねたかもしれない。戻れ」等)を送ってきているだけだ。」「その誤作動のせいで脳は、四六時中あるテーマについての悪いイメージをひっきりなしに送ってくる」「またこの誤作動のせいで今の考えから抜け出すことがとても難しい状態になっている」「しかも誤作動のせいでいつも最終的にたどり着くのは最悪のシチュエーションだ」「だからこれは自分の考えじゃなくて、OCDが見せているイメージ、OCDが仕向けている強迫観念なのだ」と今の症状が引き起こされている原因が脳の誤作動にあるということを詳細に何度も何度も自分の脳に伝えます。頭の中で考えるだけでなく、声に出して言うとこれらの事実に集中できていいでしょう。

 

3、Refocus(違うことに意識を置く):違うことに集中することによってOCDの強迫観念から距離を置きます。違うことに集中するというのは「自分が楽しめること」に集中しようとすることです。外で運動なども◎。「違う行動」「違う考え」をすることが重要です。これをいつも最低15分以上続けることを目標にします。(最初は15分もとても苦しいです。違うことを考えられないのが実情です。しかしOCDから距離を置く(強迫観念&強迫行動をしないようにする)ことを、たとえ震えて汗が出ようとも覚悟を決めて15分実行すること。距離を置けば置くほど(強迫行動(確認作業)をしない時間が長くなればなるほど、本当にその不安は現実的なものなのかが判断しやすくなってきます)

 

4、Revalue(先ほどの強迫観念が大したことじゃなかったと理解する):OCDの症状は最初は強大な不安に感じるものですが、4ステップ訓練を重ねるにつれて「これはOCD」→「これは自分の考えじゃない(脳の間違った指令にすぎない)」→違うことに集中する→「ああ、さっきのはやっぱり大したことじゃなかったんだな」という理解までたどり着くのが楽になります。

 

この4ステップは文字で書くととても簡単なように思えるし、これで本当に良くなるのか疑わしくもあるし、自分の不安に立ち向かわなきゃいけないのでとても怖いのですが、この4ステップがあなたをOCDからの解放に導いてくれるのは間違いないです。

 

この4ステップを日々実行するにあたって、本当に重要なことはあなたの「意志」。恐ろしくてもやり遂げるんだという「覚悟」です。

 

毎日続けていくと、自然と習慣化されます。

 

一番大変なのが「最初の壁」です。1番最初の「確認をしないという恐怖を乗り越える」部分が最も辛く、苦しく、何度も確認をしたい誘惑にかられます。でも何度でも負けないでください。

 

そしてもう1つ大事なことは、もしこの訓練中に確認作業をしてしまい、「ああ、自分に負けてしまった」と思っても、それは「ただ1歩後ろに下がっただけで、すべてが台無しになったわけではない。次は負けない」と思い直すことです。何度でもこの気持ちでトライしてください。

 

 

実際に克服した妻のインタビュー

妻の言葉をそのまま文字にした方が、患者さんや家族の方に直接伝わるものになると思い、インタビュー形式にしました。さっそく始めたいと思います。

 

質問(私):いつからOCD症状がありましたか?

 

妻:いつから症状があったか確実なことは分からないのですが、記憶している限りだと小学1年生からあった気がします。

 

質問:その頃はどんな症状がありましたか?

 

妻:強迫観念の種類が多すぎてすべては思い出せませんが、子供の頃はよく頭のなかで数字を数え続けたり、本を読むと同じフレーズをずっと読み続けて次に進めなかったり、机などの角に想像上の線があるように思えてそこを通れない(またいで通らなくてはならない)という、少し生活にめんどくささを感じるOCD症状から始まりました。

 

年齢が上がるにつれて、カバンの口が開いていないかどうか1分間に何度も確認したり、頭の中で自分が望まないような暴力的想像がわいたり、些細なことから悪いことが起こるんじゃないかとひたすら心配したり、家を出る時ドアを閉めたか、ガスの元栓を締めたか、自転車をこぎながら人を撥ねたんじゃないか、自分が触ったところから火が出て人が死ぬんじゃないか、お店にいる時に棚から物が落ちてきて自分のフードの中やズボンのポケット、パンツの中や靴下の中に入ってしまって店の外に持ち出してしまうのではないかと普通に考えればバカみたいな心配を本気で気が狂いそうなほど心配しました。

 

大きなストレスを受けたあとに症状がかなり悪化したのですが、そのときには頭に入ってくる悪いイメージが、「ただのイメージなのか、過去の記憶なのかすら不確実だ」という強迫観念に変わってきて、とてもつらかったです。そのほか汚れ、尿、便、カビなどが手について落ちない、石鹸で50回以上洗ってもまだ汚い感じがするなど「汚れ関係のOCD」症状は生活をかなり蝕みました。シャワーは数時間浴室から出られないときもありました。今考えてみれば、この数えきれないほどの悪い考えのうちの、1つも現実にはならなかったということが、とても「あたりまえだ」と感じられます。

 

質問:「ただのイメージなのか、過去の記憶なのかすら不確実だ」というのは、どういう意味でしょうか?

 

妻:例えば、自転車で人を撥ねてしまったんじゃないかという強迫観念が頭の中に入ってきたとき、まずはその考えに意識が集中してしまいます。誰かを自転車で撥ねたシーンが頭に浮かびます。そのイメージは、今まさに乗っている自転車の場合もありますし、ただ家にいる時に過去の自転車に乗った記憶が浮かんで、そこから強迫症状が始まる場合もあるのです。その考えに集中してしまうと、その不安が現実のものなんじゃないかと、とても恐ろしいです。

 

最初の頃は不安に思いながらも、「そんな事実はなかった」と分かっています。しかし繰り返し自分が自転車で誰かを撥ねたシーンを考え続けていると、考えれば考えるほどディテールが追加されてゆき、だんだんと頭の中でそのシーンの存在感が増してゆき、そのうちそのイメージがイメージではなく「記憶」のような気がしてきます。ここまでくると、自分の頭の中に渦巻くこの恐ろしい妄想が「イメージ」か「現実の記憶」かが自分で確信が持てなくなってくるのです。これは恐ろしい状態です。自分の脳が、恐ろしい偽の記憶を作り出している感じです。

 

質問:これほど辛い症状があって、病院を受診しようとは思いませんでしたか?

 

妻:まず、自分が「強迫性障害(OCD)」だと気づいたのはここ1年くらいのことです。高校生の頃に「OCD」という単語があることは知っていましたが、その頃はまだ「あ、私強迫性障害なんだ」くらいにしか思わずにいました。その頃は「OCD=汚れOCD」という認識でいたので、自分を悩ませるいろんなことがOCDからきていることには気づいていませんでした。その後一番状態が悪くなったとき、実は体の状態も悪くて、うつ病と不安障害とOCDが一挙に押し寄せる感じですべてが最悪の状態に陥りました。その後病院に行くことになりました。

 

質問:どんな病院ですか?

 

妻:紹介を受けて、あるセラピストの先生のところにカウンセリングを受けにいきました。実はそのときにおすすめされたのが『BRAIN LOCK』だったんです。

 

質問:その後すぐOCD治療の4ステップを試してみたのですか?

 

妻:いいえ。実は本をネットで購入してから、しばらく読まなかったんです。

 

質問:それは何故ですか?

 

妻:OCDの状態がかなり悪かったので、ちらっと内容を覗き見たときにそこに書かれている4ステップがあまりにも簡単そうに、単純そうに思えて、「こんなに辛い状態なのに、こんな簡単なことで治るのか。治るとしてもやってみる勇気がない。怖い。」と本を遠ざけて、約半年間くらい本を読まずにいました(笑)

 

質問:再びその本を手に取ったのは何故ですか?

 

妻:夫がその本を押し入れから引っ張り出してきたのがきっかけですが、ちょうどその時自分の中のOCD症状のテーマが移り変わった時期だったんです。テーマと言うのは、例えば自転車のテーマならそれが頭から離れないうちはずっとそのテーマばかり考えてしまいますし、汚れのテーマなら、それが始まるとそればかり考えてしまうんです。小さなOCDはいろいろあっても、生活を邪魔するような大きなテーマは1つが過ぎ去るとまた1つが生まれてきて、常に何かしら生活が苦しくなるようなテーマが存在しました。

 

ちょうど本をもう一度手にとったときは、さきほど説明した「偽の記憶を作って心配しつづける」という強迫が過ぎ去ったところで、汚れOCDに意識が移っていたんですね。それで、何か他に集中が移るとあれだけ苦しかったものが何事もなくなるんだなあと気づいて。それで、本をもう一度、今度はちゃんと読んでみようと思ったんです。

 

質問:ちょっと本の話に行く前に聞いておきたいのですが、「偽の記憶を作る」OCDは、どうやって乗り越えたのでしょうか?

 

妻:セラピストの先生の助言やネットで治した人たちの意見を参考に、「強迫症状の治療は、結局は「強迫行動」をしてはいけない」というのが最も重要だと分かりました。しかし、「偽の記憶を作る」OCDの場合、その「考えをする」こと事態が強迫行動になります。なので、具体的な行動をやらないのではなく、頭のなかのイメージを止めなきゃいけないので一番大変でした。それでも別のことに意識を移そうと最大限努力したんです。体を動かしてみたり、一般人の日常生活(起きる、食べる、動くなど)を必死で行ったり、とにかく体を動かして集中を違うところに向かわせるようにしました。

 

少しましになったときに、就職が決まりました。仕事という集中しなきゃだめなものができたことで、かなり症状が回復しました。しかしこの「偽の記憶」OCDは治るまでにかなり時間がかかりました。今思うと、4ステップのうちの3番だけを一生懸命やっていた状態だったと分かります。そのため、よく状態が悪くなる(再発する)という事態が起こりました。今ならわかりますが、4ステップを1から順番にやっていくことが、ブレインロック(脳の誤作動)を解くためには絶対に必要だったんですね。

 

質問:ちょうど4ステップの話になったので、本の話に戻りますね!4ステップは、いつから練習し始めましたか?

 

妻:1ヵ月前くらいから、本格的に始めました。今まで、かなり短い期間でしたが、OCD症状の80%が消えて、自分の人生が戻ってきたという喜びと幸せをかみしめながら最近はうきうきと楽しく生活しているんです。最近はここ1年くらいまったく浮かばなかった「自分が何をやりたいか」ということを考えられるようになったし、心休まる時間という平和を取り戻したし、未来が見え始めたんです。それがすごくうれしくて!努力した甲斐があったなと本当に心から思います。

 

質問:練習は具体的にどうやってやりましたか?

 

妻:1~4をOCDの症状がなくなるまで繰り返しやるのですが、最初は1、2くらいしかできないと思います。実際には1の「これはOCDだ」って言い聞かせるのすら難しいです。私もステップ1からかなりの恐怖に立ち向かわなくてはなりませんでした。なぜなら、「これはOCDだ」と自分に強く言い聞かせても、「もしこれがOCDじゃなかったら(本当に現実になったら・・・)」という声(考え)がひっきりなしにやってきます。でもそれについても本には書かれていて、その声(考え)は絶対にやってくるけど、練習すれば勝てるようになってくるとあったので頑張りました。この段階は夫の助けを借りながら、かなり時間をかけて練習しました。

 

質問:ステップ2はどうしましたか?

 

妻:私はこのステップ2が一番助けになったと感じるんです。最初は効果があまり感じられなかったステップでもあるんですが、「これは私じゃない。OCDの生化学的なアンバランスのせいで間違った指令が出ているだけだ」と繰り返し自分に言い聞かせているうちに、ついにステップ1の「これはOCDだ」という部分がかなり確信できるようになってきたんです。そしてこのステップがかなり自分を安心させてくれました。私じゃないんだって。

 

質問:ステップ3の「リフォーカス」はどうでしたか?

 

妻:これが一番大変でしたが、これがしっかりできるようになってこそ、ステップ4が自然にやってきて、「ああ、強迫症が治っていっているんだな、というのを強く感じるようになりました。このステップ3の名前は「リフォーカス」なんですが、最初から強迫症状から100%抜け出して別のものに集中できるわけではないです。意識を移しても常にある程度強迫観念が頭に残っているんですが、一生懸命違うことに集中するように努力するんです。

 

この段階こそ、「今まで私を苦しめてきた強迫症状に勝つんだ。これ以上苦しむのは嫌だ。」と覚悟を決めて、泣こうが怖かろうが、我慢しました。本当に、死ぬほどつらかったんです。確認行動をしたくてしたくて狂ってしまいそうになりながら、15分、15分だけ頑張って耐えようって踏みとどまりました。最初はこの15分が限りなく遠く苦しいのですが、1回目乗り越えると次はもう少し楽になります。2回目乗り越えるとその次はもっともっと1~3の段階がとても楽になるのです。この1~3までの段階で、私にとっては夫の助けがかなり大きかったです。

 

私:この3ステップ目が私が見ていても一番辛そうでした。言葉で言い聞かせるだけじゃなくて、実際に自分の行動を制限するわけだから。いつも私に「お願い、確認してもいい?今回だけ」と聞くんです。昔は気が済むのなら確認しておいで、と送り出していたのですが、この本を読んでからは絶対に送り出しませんでした。「一緒に15分だけ耐えてみよう?大丈夫だから」とひたすら背中をさすりながら手を握って、深呼吸を一緒に行いました。

 

最初の頃は確認しないで耐えるその15分程度のうちに、震えだしが来るほど辛がり、ボロボロ泣いていました。しかし1回目を初めて超えたときの感動は、今でも鮮明に覚えています。1年以上確認作業を止められなかった妻が、初めて手洗いを我慢したまま眠りについたときは、身震いしたのを覚えています。この本が言う通りにやれば、本当に治る、絶対治る、と確信して、支える側としても涙が出るほど大きな希望が見えました。

 

質問:ステップ4についても体験談をお願いします。

 

妻:ステップ3ができるようになったら、自然にできるようになっていました。しばらく違うことに集中できていると、それまで自分を苦しめていたOCD症状がすごく「たいしたことないこと」に思えて、そのまま楽になっていくんです。そして、「あの強迫行動は、バカだったよね。今後はそんなことしなくていいよね。次に同じ考えが来ても、すぐ追い払えるね」と自分の中で確認するんです。そうすることで、同じ強迫症状は繰り返さないですむと私は感じています。

 

質問:具体的に、現在どのようなOCDを克服されましたか?

 

妻:ほぼ全部です。手洗いも、偽の記憶も、火が出ることも。でも、日常生活で強迫観念自体は今でも浮かぶんです。でも、強迫観念が頭に浮かんでも、反応しないでいることが楽になっています。4ステップの訓練のおかげです。ごくごくたまに手を3回くらい洗っちゃうことはありますが、そんなときは「1歩後ろに下がっただけ」と考えて、すぐにまた1~4のステップを踏むんです。そうすると、すぐに強迫症状から距離が置けます。1、2、3、4が練習するにつれて自動的にできるようになってきます。そうなってくると、新しい強迫観念のテーマが来そうになっても、未然に防ぐことが可能になるんです。

 

私は強迫性障害ならば、どんな種類のOCDでもこの4つのステップを「強い意志」でやり続けることによって、必ず快方に向かうと思います。私が実際、様々な種類のOCD症状を持っていたからです。本には私より酷い症状の人もたくさんいますが、治っていってます。それに、何より薬を飲まずに治せたことが本当にうれしくて。

 

質問:ほかに、この記事を読む人に伝えたいことはありますか?

妻:OCDとうつ病と不安障害が重なったときの一番ひどかった頃、私にとっての「希望」は「この不安は現実でなく、OCD・・・だよね?」ということでした。とにかく不安と強迫症状の存在が大きすぎて、それが現実じゃないんだと思うことに希望を見出していました。それが次第に「強迫性障害は治せるんだ」という希望に変わってきて、この本と出会ってからは「絶対治せる。強迫症がない人生が送れる」という希望になりました。希望の形がどんどん変化してきましたが、精神病で辛い思いをしているとき、もっとも大切だったのはいつでも「希望」でした。

 

一番ひどかったとき、1度希望を見失い、未来が真っ暗に見えたことがありました。その時は夫が引いてくれる手だけ握りしめて、もうどうにでもなれ、と夫が引っ張ってくれるままについていきました。あの時、死にたいと思っていましたが、死なずに助けてくれる人の手を握れた自分に、今では感謝しています。そしてもちろん、私を助けてくれた夫や家族に、心から感謝しています。

 

今OCDで苦しんでいる方たちに伝えたいことは、「希望」をもってください、ということです。今苦しんでいる心配事、不安、強迫観念は絶対に現実にはならないし、必ず治って普通の生活に戻ることができます。

 

私:インタビューに真摯に答えてくれてありがとうございました。隣でずっと見てきた自分としても、このようにつらかった日々を乗り越えて、同じように苦しんでいる人たちのために一緒に記事を書けるようになったこと、本当におめでとう。よく頑張りました。あなたのことをとても誇りに思います。そして私からも、OCDの患者さんを持った家族の方へ伝えたいことがあります。

 

OCD(強迫性障害)患者さんのご家族の方へ

家族の皆さんにとって、愛する人が「普通には理解しがたい心配事に本気で恐怖している」状態に、最初はショックを受け、次にどうにか治してあげたいと方法を探し回り、いろいろ試すけれどなかなか治らないことに苛立ったり、一緒に気が狂いそうになったり、本当に治るのか、また明るい生活を一緒に送れるようになるのかとても不安になると思います。

 

まずは、家族の方も一緒にこの『BRAIN LOCK』を読んでみてください。そして、OCDが「ただの心配性や綺麗好きなど性格的な問題」じゃなく、脳の誤作動が原因で起こっており、本当に患者にはどうすることもできないということを理解してあげてください。そうすると、「どうして止められないの?もうやめて!」と叫んでしまうのを踏みとどまることができます。「どうして止められないの?」はきっと患者さんにとって一番つらい質問でしょう。止められるものなら止めるはずです。苦しいのですから。

 

OCDについて家族がしっかりと理解することによって、患者さんが治療をするのを応援しやすくなります。

 

また、患者さんが強迫行動をするとき、一緒に確認してくれと言われても、無条件にすべて手伝ってはだめです。なるべくステップを1から順番に「それはOCDだよ、大丈夫、手は汚くないよ」⇒「それは脳の誤作動だからあなたが考えているわけじゃないよ、大丈夫。現実じゃない」⇒「ね、一緒に15分でいいからとりあえず確認しないで我慢してみよう?深呼吸して。ステップ1と2をしっかりやってみよう?」⇒「よし、違うことやってみようか?映画でも見ようか!ゲームでもしようか!」と、最初は家族が積極的に助けてあげるといいと思います。

 

なぜなら最初はステップ1とか2とか、そんな理路整然としたことは考えられないからです。とにかくOCD症状が辛くって、本人は「確認したい、したい、したい・・・」という考えにがんじがらめになっているからです。だから最初はぜひ周りの人が力を貸してあげてください。お一人で暮らしている場合は、それこそカウンセリングの先生や病院の先生に助けていただく方がよいでしょう。一人で治すことも可能でしょうが、相当の精神力と意志の強さが必要です。

 

私がこの本に出会う以前に一番苦しかったことは、「どうやって助けてあげていいのか分からない」ということでした。自分が無力に感じ、愛する人が苦しむのを見ているだけで助けてあげられないのが情けなく、とてもつらかったです。これを読んでいるご家族の皆さんも、同じ思いをしていらっしゃると思います。

助けてあげる方法が分かると、とても気持ちが楽になりますよね!しかも、続けていけば必ず快方に向かっていきます。ブレインロックが外れる瞬間が来ます。最初の1回、乗り越えられたらあとはどんどん楽になるんです。目に見えて分かりました。あなたの大切な人が最初の1回を乗り越えられるように、ぜひ手を握ってあげてください。最初の頃は「ステップ1はこうだったよね、2はこれだよね、やってみようね」とかなり手伝ったのですが、次第に自分で呪文のように1、2の内容を唱えながらいろんな症状を克服していく姿を見るにつけ、自分の心も晴れてゆき、家庭に明るさが戻ってきました。本当に嬉しかったです。

 

妻が言っていたように、ご家族の皆さんにも「希望」をもっていただきたくて、この記事を書くことを決めました。とても個人的な苦しみの過程を、このように詳細に語ってくれた妻に感謝します。そしてこの記事が多くのOCD患者さんとそのご家族に「希望」を届けられますよう、心から祈ります。

 

OCDは、治ります!

明るい未来が、絶対来ます!

ブレインロックは、外せます!

 

希望を持って、治療に取り組んでくださいね!!

すべての方の早期回復を心よりお祈りいたします。

 

2017年06月19日 妻と私のOCD体験記

 

※もし何か私たちに質問がございましたら、一番上のメニュー内にある「お問い合わせフォーム」をご利用ください。下記コメントフォームにてコメントやメッセージも大歓迎です。

スポンサーリンク

 - 健康, 私が伝えたいこと , , , , ,